地域文化の今昔、見つめて踊って、仲間とともに
こんにちは!
寒々とした毎日、どうお過ごしでしょうか。風邪っぴきの学生も増えています。
私もついつい予定をたくさん入れてしまい、生活のリズムが崩れてきているので、風邪をひかないように用心しています。
忙しくしてしまう毎日ですが、たとえばお家で過ごす時間の中に、蝋燭を灯し、火の揺れを見つめながらゆっくりとする時間があったらなあ、と思う今日この頃です。
🕯️
さて!本日は3年生の授業(地域実践学3 担当:田口真太郎先生)を紹介します。
本授業、地域実践領域招聘教授の講義では、地域のキーパーソンをゲストに迎え、講義と対話を通じて学んでいきます。
今までの講義はこちら👇
▷第一弾「井上仏壇」より井上 昌一先生
▷第二弾「中川木工芸 比良工房」より中川 周士先生
▷第三弾「冨田酒造有限会社」より冨田泰伸先生

▶︎有限会社 大與WEBサイトより:https://warousokudaiyo.com/
今回は、「有限会社 大與」代表取締役、四代目当主の大西 巧(おおにし さとし)さんにお話ししていただきました。
1914年創業の、和蝋燭を作る専門店「有限会社 大與」。滋賀県の西北部に位置する高島市今津町にあり、100年以上経った今も、現代の蝋燭の価値を常に見つめ、和蝋燭を作り続けています。
今回は和蝋燭ではなく、地域文化の継承と創造についてお話いただきました。

大西さんは、高島にある文化の一つ「高島音頭」の継承の取り組みをされています。
「高島音頭」とは、高島市の各地域に伝わる盆踊り。朽木、高島、安曇川、新旭、今津、マキノの6町村のうち5町村7種類の伝統的な盆踊りが現在踊られています。
それぞれの音頭は各地域の祭で踊られているのですが、毎年7月に今津の名小路商店街で行われる「高島おどり」というイベントでは、たくさんの人が集まり、各地域の音頭(7曲)を踊り尽くします。

▶︎2024年開催の高島おどりの様子
!もっと詳しく👀
アシスタント井上は高島市に住んでおり、高島おどりに関わっています。高島おどりに関わっていると、和蝋燭の本業をうっかり忘れてしまうくらいの高島おどりへの熱量を、大西さんから感じます。その熱量の所以は、こちらでもご覧いただけますので、ぜひご一読ください。https://note.com/takashimaodori/m/m4f89dee7d0af
「高島おどり」では、高島音頭継承のための工夫を見ることができます。
*魅力的なデザインが施されたポスターや、高島おどりのイラストが描かれたグッズの販売がある。
*異才を放つ盆踊りの先生による、盆踊りを楽しく踊るための練習会が開催直前に行われている。
*若い人たちに興味を持ってもらうために結成されたアイドルグループがお立ち台に立って踊っている。
などなど

▶︎高島おどりのポスター。イラストが目を惹く。

▶︎高島おどりグッズの物販コーナー

▶︎お立ち台に上がって踊っているのは、実はアシスタントの吉村さん。アイドルの一人です。そして手前の二人は地域実践領域の学生さん。高島おどりの話をしたら興味を持ってくれて、一緒に大学で練習をし、さらに自主練もして当日参加してくれました。
継承のための実践を行うにあたって、大西さんは「高島音頭」の昔と今の環境・人を観察し、“今”目指すべきところを考え、高島音頭の強みの分析、郡上おどりなどの有名な他地域の盆踊りのリサーチをされたそうです。その中でさまざまな人に協力を募り、どんどん高島おどりに関わる人が増えていったそうです。
この姿勢は、地域実践領域の研究にも繋がりますね。
今と昔を見つめ、実践例をリサーチ。そこから自分の興味関心と結びつけ、さまざまなものやこと、人と関わりながら進めていきます。

「地域文化の継承」は、日本各地で課題とされています。大西さんは、講義のタイトルを「地域文化の継承と創造」としていました。
継承のための創造。
比良に工房を持つ桶職人の中川さんの講義でも感じたことですが、「文化」に含まれる、今日までの人々の思いや跡を敬うことは大切ですが、そこから我々がいかに創造していけるか、そしてそれを面白がってやれるかが鍵だと、お話を聞いて思いました。
今を見つめる姿勢、今ここにいる人たちを見つめ、共に取り組んでいく姿勢が、文化の継承につながるのだと思います。
私自身の、高島おどりに関わる理由の一つが、
踊っていると、人々が共に生きてきたこと、これからもさまざまな人と共に生きていくことを体感できるからです。そういうことを感じることができるお祭りのような機会が、かつては当たり前にあったと思いますが、今は自分で選ばないと機会があまりないように思います。
高島で暮らしてまだ短いですが、高島おどりに関わったり、地域の文化や歴史を知ると、関わる人が増えて、頼れる人・頼られることが少しずつ増えて、どんどん高島での暮らしが楽しくなっていくのを実感しています。
皆さんも研究やものづくりをを進める中で、関わる人や土地をじっくり味わいながら行うと、より自分自身が楽しくなって、どんどん研究を進めたくなるのではないかと思います!
その中で大変なこともありますが、それは相談しながら、一緒に進めていきましょう!
高島でさまざまな人と関わりながら、楽しみながら文化の継承をされている大西さんに会いに、その空気を体感しに、ぜひ来年の高島おどりは参加してみてくださいね〜🎵
大西さん、お話いただきありがとうございました!
【ゲストスピーカーのご紹介】(地域実践領域招聘教授)
大西 巧 ONISHI Satoshi
「有限会社大與」代表取締役。滋賀県高島市で100余年にわたり伝統の和ろうそくをつくる専門店。和ろうそく「大與」四代目主人。2011年「お米のろうそく」でグッドデザイン賞を受賞。創業100周年を機に「灯と人を繋ぐ」コンセプトブランド・hitohito (ひとひと)を立ち上げ、暮らしの中の灯と人の関係や在り方を問い、発信している。
近江手造り和ろうそく 大與 WEB SITE▶︎https://warousokudaiyo.com/

地域実践領域アシスタント井上