地域実践基礎演習2-大津中心市街地FW-2018.7.13
みなさま、こんにちは!
さて、前回の地域実践基礎演習1では「地域を知る(都市と農村のフィールドワーク)」で仰木の集落に触れた学生たち。
今回は、毎日乗っているJR湖西線からJR琵琶湖線に乗り換えて、大津中心市街地のフィールドワークに行ってまいりました!
はじめに訪れた先は大津百町館さん。
大津百町館は「町家の博物館」として、明治中期の大店の奥座敷が自由に見学できる町屋として知られています。
こちらのスタッフさんに、大津についてお話しいただきました。
東海道五十三次最大の宿場であった大津の街には、今でもその名残や歴史を感じるヒントがたくさんあります。
スタッフさんは、そのような歴史的背景を踏まえた上で大津の街並みを維持する古民家再生などの活動に取り組んでおられ、学生たちも聴き入っていました。
町屋を見学!
2人が恐る恐る撮影していたのは井戸の中。実際に水を汲んでみたり、当時の生活を肌で感じていました。
珍しい光景に、あちこちでシャッターを切る音が鳴り止みません・・・。
次に向かいましょう!!
続いて訪れた先は曳山展示館です。
ここは湖国三大祭の一つ、「大津祭」をテーマにした展示館です。
NPO法人大津祭曳山連盟の方に、大津という土地ならではの祭りについてお話しいただきました。
NPO法人大津祭曳山連盟Webサイト→http://www.otsu-matsuri.jp/home/
入り口には大津祭りの際に引く原寸大の曳山模型が!迫力満点です。
現在13基ある大津祭りの曳山には、個性豊かなからくり人形が乗っていることが特徴です。
それぞれ故事や能楽・謡曲などをモチーフにした独自のからくりの所作を見ることができます。
大津の基礎知識を入手した後は、商店街を出て、天孫神社や市役所など、石川先生と加藤先生に案内してもらいながらぐるっと一周歩きました。
何気ない風景から、それぞれ興味のあることに目星をつけていく学生たち。。。
大津のどのような知見や魅力に気づき、それを伝えてくれるのでしょうか?
それでは発表の方に参りましょう!
いくつか気になったプレゼンを紹介します。
こちらのペアは『大津祭とお土産』をテーマに発表しました。
曳山展示館のスタッフの方や町の人にお話を伺う中で
「大津祭に来てくださる観光客はたくさんいるが、その時に商店街に寄ってお土産を買って帰る方があまりない」
といった声を汲み取って、今回のテーマに結びついたと言います。
まずは、大津祭に由縁のある彼女が自分が撮影した動画を交えながら大津祭についてプレゼンしました。
実際に曳山から投げられるちまきや手ぬぐいも持って来てくれました。
西行桜狸山のからくりもバッチリ映っていました!謡曲「西行桜」から、花の中から仙人が現れて、西行法師と問答する場面が表現されています。
そして、、、
カメラ担当の彼がお勧めする商店街のお土産。「八百與(やおよ)」のお漬物の試食会が始まりました!
商店街に店を構える「八百與(やおよ)」は、嘉永3年(1850年)に創業された老舗漬物店。
「ながら漬」という酒粕で漬けたお漬物が伝統の味です。
一方で、食文化の変化や健康志向に合わせ、浅く漬けた瓜の粕漬など、時代に沿った商品も開発されています。
彼は、伝統の味であるながら漬を、酒粕を漬けたままのものと洗ったもので食べ比べしてもらったり、新しい商品の瓜の浅漬けも用意して、八百與の魅力についてアテンドしてくれました。
お漬物についていた酒粕を粕汁にするアレンジメニューも!!
八百與のお漬物は通販などのシステムがなく、「実際に現地に足を運んで手に入れるところがいいね」との意見も。大津の楽しみ方を知るきっかけになりそうですね。
続いてはこちらのペア。プレゼンタイトルは「「懐かしい」という記憶」
と。いうのも、、、
彼らのテーマは町屋と空家。そしてそれを踏まえたまちづくりについての発表でした。
きっかけはフィールドワーク中、地図に載っていない細い道を歩いていた際に、今にも崩れそうな空家を発見したことで大津市の空家問題の状況に興味を持ったと言います。
そこで彼らは、大津市役所に行って空家の現状を取材して来ました。
町屋と空家の取材途中で、彼らは町の人から区画整理事業の話を耳にします。
「もしかしたら、目の前の建物も消えてしまうかもしれない」と悲しそうに言うおばあさんの話が印象的だったと言います。
未来のまちづくりのために、町屋と空き家、はどのような役割を果たすでしょうか?
最後に2人で出し合った意見として、
『住みやすいまちづくりのために、建物に文化的価値がない限り区画整理を優先させるべきだと考える。しかし、リュエルしなやかや、百町館など、景観において重要となる建物が大津市にはたくさんある。観光に向けた活性化を目指すなら、よほど不便だという声をあげない限り、区画整理は必要ないのでは。』
『大通りが出来て街が変化していく。やはり子どもがこないとまちは進展しないので区画整理事業に徹するべき。そうしたら後々町屋に住む人は増える。』
など、各々の見解が述べられました。
最後は湖岸沿いを歩きに歩いたこのペア。
大津の常夜灯を、自分たちの足で調査しました。
常夜灯とは、一晩中つけておく明かりのことです。
古くから、ろうそくや菜種油を燃やして火をつけ、町の灯りとして活躍していました。
滋賀県では湖岸沿いに多く設置され、灯台の役目をしたと言われています。
その他、秋葉山常夜灯、苗鹿の常夜灯、石場の常夜灯、矢橋帰帆の常夜灯と常夜灯を追いかけた彼らは、
常夜灯の形がそれぞれ違っているのは、当時、町のシンボルのような役割もあった常夜灯だから、それぞれの作り手が競い合っていたのではないだろうか?など、当時の状況について独自の想像を働かせていました。
また、先生からは先日発生した地震、水害などから、電気がなくても生きていける状況を作っていかなければならないかもしれない。
そういった点からも現代の常夜灯の役割が他にもあるのではないかという意見が出ました。
ところで、プレゼンの冒頭で気になった光景として、こちらのトンボが話題に上がっていました。
湖上に建つ城として有名な滋賀県立琵琶湖文化館。
そのてっぺんにとまっているのが、こちら文化館のシンボルになっているトンボです。
文化館は現在残念ながら休刊中ですが。。。。。
開館当時、トンボは光っていたのでした!!
つまりトンボも常夜灯として活躍していた!というところで発表終了。
ちゃんとオチまでありました。
レポート:地域実践領域助手 松元悠