skip to Main Content
【研究、展覧会活動報告】「びわ湖の庭」で一緒に漂いましょう

【研究、展覧会活動報告】「びわ湖の庭」で一緒に漂いましょう

小さな展覧会「びわ湖の庭に漂う」 開催中です

これまでのワークショップで生まれたワークシートや、拾い集めた漂流物をもとにした作品展示を、現在開催しています。
びわ湖の漂流物に触れ、その背景を想像し、小さな庭をつくるプロセスを体感していただける内容です。

「びわ湖の庭に漂う」
2025.11.29 SAT – 12.22 MON 11:30–17:30

入場無料
場所:喫茶 古良慕(滋賀県高島市新旭町旭460)
※営業日の土・日・月のみ開催(12/20休業)

古良慕は、伝統的な木造建築の技を味わいながら過ごせる素敵な喫茶店です。
ぜひランチやカフェと合わせてお越しください。

会場の様子
会場の様子

琵琶湖との暮らしや景色を“庭”として捉える ― 「びわ湖の庭」という試み

滋賀県の中央に広がる琵琶湖は、四方の山々から流れ込む水が集まる大きな“器”です。雨や雪が山に降り、湧水となり、川となり、私たちの生活を通り、湖へ流れ込み、また蒸発し、雲となり、巡っていく。

この循環に抱かれた一帯を、私たちは「びわ湖の庭」と呼んでみることにしました。

「庭」というと整えられた空間を思い浮かべがちですが、ここでいう庭はもっと自由で、もっと雑多。風に運ばれ、水に揺られ、時間に磨かれたさまざまな素材が偶然に出会う場所。その混ざり合いを“風景”として見ることはできないだろうか――そんな発想から、この取り組みが始まりました。

彦根市南三ツ谷公園にて

キーワードは、「漂流物」「庭」、そして「自分なりの方法で循環に加わる」こと。
拾い集めた素材を並べたり、組み合わせたり、小さな庭をつくる行為そのものが、自然と文化のつながりを捉え直すきっかけになります。

湖岸での発見から始まった、「なんかできるんとちゃうか..」

このプロジェクトの出発点は、琵琶湖北西部・海津地区での湖岸フィールドワークでした。
湖辺に目をこらすと、レイクグラスや陶片が驚くほどたくさん落ちています。波にもまれ、角がとれ、すべすべになったガラス。古い染付けの陶器のかけら。かつての暮らしの道具が、時間をかけて丸くなり、再び手のひらにコッソリおさまる不思議さ。

びわ湖の漂流物
漂流物、海津にて

参加した学生同士で「こんなの見つけたよ」と見せ合ううちに、自然と“何かつくりたい”というワクワクが生まれました。
漂流物はただのゴミではありません。
過去のひとびとの営みの痕跡であり、水と時間が刻んだ風景そのものです。

漂流物の魅力 ― 漂いながら考える

漂流物を拾う行為は、いわば琵琶湖版ビーチコーミング。
道具も必要なく、ただ歩きながら落ちているものを見つけるだけ――しかし、その奥行きは思いのほか深いものです。

カワニナは、縦長の巻き貝です

たとえば琵琶湖固有の巻き貝「カワニナ」。
現在知られる22種のうち19種が琵琶湖固有で、今も新種が報告されるほど多様性に富んだ生き物です。風化した貝殻を拾うだけでも、琵琶湖が持つ固有の時間の厚みを感じられます。

これは全て海津で拾ったガラスと陶磁器片です

また、レイクグラスや陶磁器片は、水辺の暮らしを映す小さな資料。
新しいものから江戸・明治の焼き物まで混ざり合い、浜辺に残る“生活の記録”とでも呼べる存在です。捨てられたものが波に洗われ、再び誰かの手に渡る――そんな循環のなかに物語が宿っています。

漂流物を拾うことは、単なる収集ではなく、風土と向き合う行為です。
「これはどこから来たのか?」
「ここは琵琶湖のどんな場所なのか?」
「どんな暮らしや文化が背景にあったのか?」
問いを投げかけながら歩くことで、見える景色が少しずつ変わっていきます。

「びわ湖の庭」の中で、あなたの物語をつくる

ワークショップでは、漂流物や身近な素材を組み合わせ、小さな“庭”をつくります。
材料はできるだけ買わず、手元にあるもの、拾ったもの、暮らしの中で出てくる廃材などが主役。

「つくること」と「壊れること」、
「所有」と「手放すこと」、
「偶然」と「必然」。

高島市海津にて、漂流物を拾う

その境界を揺らしながら、環境と文化のつながりを再考する場として育ってきました。
この取り組みを実践する人のことを、私たちは“庭師”と呼んでいます。
小さな実践が、未来の風景をつくる一歩になると信じて。

高島市海津
沖島
多賀町萱原の犬上川ダム

ワークショップ開催!

参加費無料/12.21 SUN(終日)
漂流物と古良慕さんの古材(場所/環境)をつかって、自分だけの“小さなびわ湖の庭”をつくります。制作時間は15~30分程度、随時受付しております。
詳細はコチラ12/22「びわ湖の庭」ワークショップのご案内!』

どんな感じのワークショップなのか、気になった方は、以前に私たちがホウライマルシェで行った様子を参考にしてください。▶︎『WS活動報告 びわ湖の庭〜ホウライマルシェのお隣で〜』

この看板が目印です

レポート:

地域実践領域教員 山田 真実

Back To Top
×Close search
Search