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【WS活動報告】びわ湖の庭〜ホウライマルシェのお隣で〜

【WS活動報告】びわ湖の庭〜ホウライマルシェのお隣で〜

湖岸にひろがる、小さな“庭”との出会い

11月2日(日)、蓬莱マルシェのすぐ隣、琵琶湖の湖岸で「びわ湖の庭~ホウライマルシェのお隣で~」ワークショップを開催しました。
朝9時から13時まで、参加費は無料。マルシェを訪れた方や通りがかったご家族など、のべ20名ほどが参加してくださいました。

このワークショップは、びわ湖湖岸に流れ着いた“漂流物”を拾い、組み合わせ、撮影することで「自分だけの小さな庭」をつくる体験です。陶片、レイクグラス、貝殻、木の実…。長い時間を湖で過ごしてきた素材たちは、それぞれにびわ湖の記憶をまとっています。

ここからは、当日の手順にそって、ワークショップの様子をご紹介します。

1. 湖岸を歩き、漂流物を探す

会場近くの湖岸には、今年つくった組み立て式の屋台を設置しました。なんと電車で運べる仕様。参加者はそのすぐそばから湖岸へ降り、思い思いに漂流物を探しはじめます。

「これなんだろう?」「ガラスが丸くなってる!」と、小さな発見に声が上がります。レイクグラスや陶片はもちろん、草の影に落ちていた木の実など、素材はそれぞれの“出会い”によって選ばれていきます。

2. 素材を組み合わせ、小さな“庭”をつくる

拾った漂流物を前に、参加者はその場の環境と素材を見比べながら、そっと配置を考えます。
コンクリートブロックの隙間、生えている草のかたち…その瞬間にしか存在しない風景に、素材を置いてみることで物語が生まれます。

ここで大切にしているのは、「偶然性を受け入れること」。
素材と場所が出会い、参加者の手によって“庭”として再構成されることで、多義的な世界が立ち上がります。

3. 撮影場所を見つけ、チェキでパチリ

できあがった“庭”を、今度はチェキで撮影します。
はじめてチェキを使う小学生はドキドキしながら、光の向きや距離を調整してシャッターを切ります。
写真になると、目の前にあった“庭”の小さなドラマがより鮮明に見えてきます。

4. タイトルを記入して作品を仕上げる

撮影した作品には、ひとりひとりがタイトルをつけ、ワークシートに記入します。今回のワークシートは、デザイン担当の井上さんが描いた蓬莱周辺の地図入り。参加者の方からも好評でした。

5. 素材を持ち帰るか、びわ湖に返して終了

完成した後、素材は持ち帰っても、もとの湖岸に返してもOK。
ワークショップの終了後には、湖岸のいたるところに「小さなびわ湖の庭」が点々と現れていて、とても美しい光景になりました。

参加してくださった皆さま、本当にありがとうございました。

湖岸で出会った“いのちの痕跡”

最後に、私(山田)が当日出会った印象的な漂流物を紹介します。

それは、砕けた亀の甲羅と、同じような模様をもつ発泡スチロールの破片でした。
どちらも泥で茶色く染まり、折れ曲がったような模様が不思議と共通しています。近くにはカラスの羽も落ちていました。※実物はしょうげきてきなビジュアルかもしれないので、漂流物スタンプでお届けします。

ホウライで見つけた漂流物の記録
その場に並べてみると
なんの羽根?

亀の甲羅は、まさに「いのちの循環」の痕跡そのもの。
一方、発泡スチロールは自然界の循環には入りにくい存在です。
この対比は、湖岸という環境が抱える課題と可能性の両方を静かに語っているように感じました。

亀の甲羅と色が似ている

「びわ湖の庭」が伝えたいこと

漂流物を拾い、見立て、再構成する行為は、単なる収集でも工作でもありません。
それは、びわ湖という環境に宿る時間・記憶・物質の循環を、手を動かしながら読み取る営みです。

  • つくることと壊れること
  • 所有することと手放すこと
  • 自然と人間、素材と文化のあいだにある境界

そうした“ゆらぎ”を敏感に感じ取れるのが、このワークショップの魅力です。

びわ湖の湖岸には、常にさまざまなものが行き交い、積もり、また形をかえていきます。
その循環のなかで、偶然性や即興性を受け入れながら小さな庭をつくる体験は、自分の暮らしを見つめる新しい視点にもつながります。

これからも「びわ湖の庭」は、環境と文化の未来を考え、楽しみながら試行錯誤できる場であり続けたいと思っています。

レポート:地域実践領域教員 山田 真実

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