山、里、川、湖、海のつながりをデザインする①多賀町
最近一段と寒くなりましたね!
地域実践領域は、様々なものに触れて学ぶために、今日も元気に歩きます🚶
本日は二年生の授業「地域の素材でつくる」をレポートします。
地域を歩き、その場所で実際に素材に触れ、関係性を考えながら造形物を提案します。
「山、里、川、湖、海のつながりをデザインする」が大きなテーマです。
2年生は月初めに、湖西から湖東へ。山、里、川、湖、海のつながりを学ぶツアーに行ってきました。
それでは出発!まずは「湖」へ
彦根市「南三ツ谷公園」。普段学生たちが見ている湖西の湖とは違う表情です。
落ちているものや景色など、違いを見つめながら歩きます。
あ!海津のフィールドワークで見た、
ハシイタに似たものを発見!
こんな大きなものも湖岸に流れ着くんですね。
これは田舟の舟板かもしれない…!
続いては「金屋頭首工」へ
「頭首工」…聞き馴染みのない言葉ですね。
見た目は貯水の役割を持つダムに似ていますが、頭首工は川の水を仕分け、用水路に引き入れる役割をするものです。金屋頭首工の上流には、「犬上川ダム」があります。
今では当たり前に誰もが使っている水ですが、江戸時代にはこの辺りで水争いがあったそう。
それがきっかけで、ダムや頭首工が作られた経緯があります。
続いては「里」。地域実践領域 客員教授 仁連 孝昭先生(https://seian-ccd.info/teachers)のご自宅へ!
仁連先生はご家族とのお住まいと、もう一つ拠点を持っておられます。
ただの2拠点生活ではなく、「持続可能な暮らし」の実践をされています。
ストーブ用の薪。冬までに切って蓄えておく。
狩猟の罠を手作りする。
・蛇口をひねれば出る水
・スイッチを押せば暖かくなる部屋
・スーパーに行けば買える食べ物
そんな当たり前にあるものを使わずに、
自分の手を使い、考え、動き、「つくる」暮らし。
・薪でストーブやボイラーを焚き、熱源をつくる。
・蜂を養蜂する。
・湧水を使う。
・狩猟と畑をし、食べるものを自給する。
・古民家を改修して暮らす。
・改修で出たレンガを使って窯をつくる。
・狩猟の罠を手作りする。
仁連先生はなぜこの暮らしを実践されているのか、自分の暮らしに関連する道具やシステム、そして暮らしによって影響される周りのモノやコトを想像しながら、一緒に考えてみましょう。
続いては「高取山ふれあい公園」に伺いました!
ここは大滝山林組合役場という一部事務組合が管理しています。
一部事務組合という聞き馴染みのないキーワードですが、これは、市町村等が行う仕事の一部を複数の市町村等が共同で行う目的で設立する特別地方公共組合のことです。・・・参考文献:総務省|「地方自治制度の概要」.2024/10/15.・・・
突然難しい言葉を並べてしまいましたが、大滝山林組合は自治体組織の一部ということになります。
かつて高取山は彦根藩が所有する山でした。当時は、木材の需要が高かった為、入会林として地域住民が管理していました。入会林とは住民が共同で管理する森林を指します。当時は、入会林(いりあいりん)を適切に管理できるような政策が行われていましたが、明治時代、廃藩置県が行われた後に管理体制が代わり、乱伐されたことがありました。そこで、明治26年に計画的な山林利用を目的として組合が設立されたようです。
今回のFWでは、大滝山林組合の田中一則さんに講義いただきました。
森林を計画的に利用することの大切さを分かりやすくレクチャーしていただきました。
写真の模型は、山に木などの植物が生えていることで、土砂の流出や川の氾濫を防ぐ役割があることを知ることができるものです。奥側のものは、植物が生えていない土壌の模型で、手前は植物が生えている状態を再現したものになります。
写真をみてわかる通り、同じタイミングで同じ量の水を流しているのですが、落ちてくる水の量、スピード、土砂の量が異なります。学生たちも、植物が果たしている役割をよく理解できたと思います。
木質ペレット。加工時に出る木屑を熱で固め、熱源として利用します。
かんなクズ
そのあとは、高取山ふれあい公園内を散策し山の状態などを実際に目にしました。
生えている樹で土壌の状態が分かったり、木だけでなく草も生えているかなど田中さんから教えていただきました。
健康な山は枝打ちや間伐がされており、地面に光が差します。しかし、管理のされていない山は光が入らず、草などは生えません。木だけでなく、草も生えていることで、山に多様な生態系が生まれ、健康な山になります。
明るい山と暗い山。これらの比較が山の健康を考える糸口になります。
講義で学んだ後に、実際に触れてみることで色々な発見があったのではないでしょうか!
この学びを作品制作に活かしてください!
最後は、上流の「犬上川ダム」へ。
木がどうしてここに流れ着くのか。流木をきっかけに、山の状態を想像することができます。
山、里、川、湖、海のつながりを想像することができたでしょうか?
実体験をもとに、気になることや分からないことは地域の方に教えてもらったり、本などで調べたり…つながりを意識して制作していきましょう!
次週は更なる学びを。長浜市へ行ってきます!
レポート:井上 実奈美・三輪 泰生(地域実践領域 アシスタント)