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地域実践基礎演習3-高島市針江、海津、西浜FW-2018.9.26

地域実践基礎演習3-高島市針江、海津、西浜FW-2018.9.26

みなさまこんにちは!

寒くなったり暑くなったり。季節の変わり目ですね。体調管理はバッチリでしょうか?

後期に入って早一ヶ月、地域実践基礎演習3ではフィールドワークの授業がスタートしています。

 

後期はじめのフィールドワーク先は、滋賀県高島市に位置する新旭針江とマキノ町海津・西浜です。

 

まずは、新旭針江に向かいました。

美しい景色。ゆったりと時が流れるような針江集落。

 

この土地には美しい水が流れています。

たくさんの鮎が泳いでいました。

しばらく歩いていると、各ご家庭の前に小屋のようなものが建っているのが目に入ります。

 

こちら、なんだと思いますか・・・?

 

 

なんとこちらは、湧水が出る場所なんです。

針江は全国でも珍しい、各家庭に自家湧水があり、日常生活に利用している地域です。

 

湧き水が出る場所は「カバタ(川端)」と呼ばれ、その数は現在107箇所に及ぶそう。

夕食のための野菜を洗ったり飲み水としてなど、人々の暮らしを支えています。

カバタのお水はちょうど良い冷たさで優しい味がしました。

針江では湧き出す水のことを生きる水、生水(しょうず)と呼びます。

水と人が密接な関係にある生活を目の当たりにし、学生たちは何を感じたのでしょうか・・・

 

 

 

 

「生水の郷 おさかな旭」さんでモロコ煮を入手!

次行きましょう!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小雨が降ってきました。

次に訪れた先は、マキノ町海津・西浜です。

琵琶湖と街並みが溶け込んで、美しい景色が広がっていました。

穏やかに見えた海津ですが、実はこの半月前台風21号が西日本を直撃。

海津は甚大な被害を受けました。

そんな中で、旧海津港付近に店を構える鮒寿しの老舗 「魚治」の7代目治右衛門であられる左嵜謙祐さんにお話を伺うことができました。

 

琵琶湖 にだけ生息するニゴロブナを用いて使られる魚治さんの鮒寿司。

1748年から続く店は長い歴史の中で海津という土地の元、自然と共生しながら鮒寿司づくりを行ってきました。

左嵜さんは、

「今回の台風で、自然の脅威と恵を再認識しました。自然は、良いことも悪いことも持って来る。

自分たちがこの地に住んでいて、その恩恵を受けている。なので、自然の悪いところも受け止めないといけないと思っています。」

と、おっしゃいます。

 

鮒寿司づくりは自然の力がなければ成り立ちません。

その鮒寿司は、保存食としてや健康な体を維持するため、そして、近江のハレのご馳走として、人々の暮らしと文化に寄り添ってきました。

 

歴史と風土に裏付けられた地域文化の世界は、人々の物事に対する捉え方や、守るべきものは何であるのかを、いつも問いかけているように思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは、学生たちのプレゼンの一部をご紹介していきます!

 

 

“ やがてその湖の奥にたどりついた。二月の午後、入江のようなその地点の周りの山々は白雪に覆われ、冬の弱い陽をあびた湖面は静寂で寂寞としていた。車からおり、コートのポケットに手を入れ、私は長い間、まるでスウェーデンかノルウェーのフィヨルドに来ているような思いだった。「神秘的」という「湖里庵」の女主人の言葉はぴたりと当たっていた。人影のまったくない、この冬の景色は以後、私が年に一度はひそかに訪れる場所となっている。”

 

小説家、遠藤周作のエッセイ「万華鏡」の一章に、「忘れがたい風景」という話があります。

ここでは、遠藤周作が日本国内を旅する中、海津で見つけたとされる風景のことが綴られています。

しかし、その「忘れがたい風景」という場所が、具体的にどこであるのかという表記はされていません。

こちらのペアは、エッセイの内容や他の資料、そして自分たちの足で、「忘れがたい風景」を探した記録を発表しました。

フィヨルドの風景との類似点を探したり、芝木好子さんの小説などからヒントを得て、これだという場所に二人で向かっていく様子を説明してくれました。

自転車で探し回り、二人がビビっときた場所を発見できたそう。

コンセプトや調査方法も非常に素晴らしい内容でした!

 

「なぜ針江は重要文化的空間に選ばれたのか」という問いを、哲学的な点から考察したこちらのペア。

針江の人々の暮らしが、我々にとっては非日常であること。また、その小さな非日常=各家庭のカバタが集結している空間が大きな魅力につながっていると結論づけられました。

また、針江に古くから伝わる水神の存在。

「一つのカバタが汚れると、みんなのカバタが汚れてしまう。もっと言えば琵琶湖の水が汚れてしまう」という、町民全体の“共存”の意識。

などなど。これからの社会に何かしらヒントをもたらしてくれそうな考察の数々でした。

 

こちらのペアは、針江にUターンされた方にインタビューを行いました。

「ずっと井戸水で暮らしてきて、水道水に馴染めなかった」など、当事者の生の声が聴けました。

ピカピカのお住まいにはNEWタイプのカバタが!

針江は一時期人気観光地として、人の立ち入りが急に激しくなった時がありました。

「自分だったら住んでいるところに急に人が増えるのは嫌だけど、針江の人は住む人も観光する人も愛する土地にしようとした。道のお花も綺麗にされていたし、家の塀も低くて壁も感じられない。」

と、彼女たちらしい、自分たちの目で視た針江を発表してくれました。

 

 

350年前の地図と現在を見比べたこちらのペア。

歴史を辿る中で、漫画「美味しんぼ」に登場する魚治さんを発見!

魚治の女将さんにインタビューし、作者の方が来店された時のエピソードを紹介してくれました。

 

台風はなぜ海津に甚大な被害をもたらしたのか、台風と竜巻の関係から独自の見解を述べるペア。

なぎ倒された木々や電柱から、こちらの彼は海津の共同墓地に立つ一本の「桜」につなげ、プレゼンしました。

また、こちらのペアはもう一つ、海津の特産品「柿渋染め」に注目していました。

防腐性、防水に優れ、色落ちしない(むしろ茶色が濃くなっていく!)柿渋染めを展開される、「道雅工房」の小林さんにお話を伺い、その魅力を伝えてくれました。

なんと、染めるのに100日間もかかるそう。

手間暇かかったお財布を自分で購入し、長年使い続けて使いごごちを試すそうです。

 

 

 

 

中身の濃いプレゼンたちに、先生方の講評にも熱が入りました。

学生たち、お疲れ様です!

(学生持参資料の数々・・・)

レポート:地域実践領域助手 松元悠

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