「地域の素材でつくる2」②
11月26日よりスタートした「地域の素材でつくる2」
前回の続きをお知らせします!
前回のレポートがこちら→https://seian-ccd.info/2020/01/10/chiikisozai2/
1月7日(火)プランを考える。→プランを話してみる。
年が明けて、初めの授業日です。
いつも拠点としている「風結い(古民家再生宿泊施設)」に集合しました。
これまでの授業(栽培、収穫、管理、包装、販売を知る)の振り返り、そこから、今の条件の中でできることを探して企画を練ります。
新たなアイデアを出し合って意見交換するのが目的です。
まずは、再度、ホトラ舎の仕事の現場を見せていただき、作業の様子や、準備、加工、作物の保管方法などを確認しました。
この後、清水さんと周辺を散策しながら、空家が増えていることや、周辺の杉林伐採、環境整備のことなど、現状のお話を伺いました。
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「風結い」に戻り、少し考えを整理して、それぞれの学生が今、頭に浮かんでいるアイデアを出し合いました。
ここでの目的は、あまり固まっていないアイデアを一旦みんなに話すことで、そのアイデアの可能性を探ることにあります。
自分の考えが、面白いのか否か?後先に何か可能性があるのか?という思いつきから、どの様に具体化するのか?などを話し合うことで、次週のプラン発表に向けての、準備時間となりました。
1月14日(火)「地域の素材でつくる2」合評その1
今日は、「地域の素材でつくる2」の合評当日です。
実際に料理やレシピを提案する学生は、合評が始まる2時間前に「風結い」に到着して準備を始めました。
14時から一人15分程度の合評が始まりました。
実際の現場となったエーゼロ、ホトラ舎のある環境で、清水さんを前に提案を行うことが今回の目的です。
まずは、地域の素材である「大根と椎茸」を使った料理を提案する学生のプレゼンからです。
器に盛られた料理に戸惑いながらも、まずは食べることから始まります。
「大根餅」、「椎茸と大根のあんかけ」、「椎茸と肉のハンバーグをソテーした大根ではさんだもの」がそれぞれ提案されました。
意外にボリュームがあり、空腹時にはとても魅力的な味の提案でした。
学生自身が食べたいものや、美味しいと思っているもの、オリジナルの創作料理の提案は、やりたいこととしては大事なことではありますが、「誰に向けて?」「どこで?」「値段は?」「誰が作るの?」「どのように出すの?」「レシピ開発?」「サービスの提案?」などの質問が多く出ました。
さらに「ホトラ舎やここである独自性は?」という本質に迫る厳しい指摘も出ました。
次に、「道の駅、藤樹の里あどがわ」での販路先見学の経験から、農作物のパッケージデザイン、ミニ情報紙の提案、売り場の環境設定、什器の提案がされました。
これらを提案した学生は、「ホトラ舎でつくられている農作物の魅力、アピールをもっと消費者に届けるべきでは!」との思いでアイデアを考えていました。
この他、「学生自身が所属する農業サークルと、ホトラ舎で作業をする人とコラボレーションしてマルシェなどのイベントを設定する」という、交流の仕組みも発案されました。
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現場での初めてのプレゼンということもあり、まだまだ未整理な状態であることがあらわになりましたが、芸大生らしく「まずは実践する!」を試みることができました。
清水さんからは、「販路やコストを考えた現実的な提案をすることも大事であるが、学生らしく夢のある、僕らが思いつかないビックリするようなプランを考えてもいいのかな!?」という言葉をいただきました。
次回は大学に戻って、今回の問題点を学生自身で咀嚼し直し、最終合評にて発表します!
1月27日(月)「地域の素材でつくる2」合評その2(最終)
1月22日(水)の中間チェックを経て、最終合評を行いました。
今回は、予め、前回の反省や修正点、説明不足も踏まえ、基本的な項目を記載する、プレゼンシートを準備しました。そこに学生自身が作成した資料も加えてプレゼンテーションを行いました。
プレゼンシートは、今回の経験から新たな提案をする中で「その素材は何を意味しているか?」そして、新たな提案としての「企画の種類は何か?」を再確認、再認識する質問項目があり、
さらに、その素材が「なぜ魅力的なのか?」を、写真の添付、スケッチを描く箇所と、企画のタイトル、企画のコンセプト、企画の特徴を文章化する欄をそれぞれ設けられたものとなっています。
それでは、プレゼン発表の内容を一部ご紹介したいと思います。
販路計画の提案から、道の駅の大根売り場の一部を「畑」にする計画が出ました。
大根を土に埋めて販売し、訪れた客は大根の葉を引き抜き、土のついた大根を購入する。という提案内容です。
これは、コストや効率はさておき、「大根を引き抜くという体験」を客に感じてもらうプランでした。
一見、突拍子もないアイデアと思えますが、売り場でリアルな体験をすることから、本物の感触を知ること、さらには、「本当の畑はどうなっているのか?」といった農業への関心につなげる可能性を感じます。
その先に広がる経済社会の想像や予測にまで考えが及ばなくても、一つの小さな動機を大事にしてアイデアの核を研ぎ澄ますことで、新たな発展ができるかもしれないと気づかせてくれる企画提案でした。
パッケージデザインを考えていた学生は、パッケージタイトルを「開墾魂を受け継ぐ 泰山寺の野菜」と提案し、帯状の販促物の裏紙には土地の歴史変遷が紹介されているものを作成しました。
ウェブサイトに繋がるQRコードをつけて、前回より現実的で実用的なものにブラッシュアップされています。
さらにそれは、直接大根に巻きつけ、簡単に誰でもできる包装プランになっており、障害のある働き手に考慮した提案になっていました。
また、学生自身が所属する農業サークルとホトラ舎を繋ぎ、作業や収穫、販売を共に行う企画提案がありました。
「学生が今現在企画して進めているイベントに参加することで、テーマや思いを共有し、コミュニティの輪を広げることからその価値を高めていく。」といった、仕組みづくりの提案でした。
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今回の合評では、学生自身が普段からテーマにしていることや、その活動と関連づけることができる提案はよりリアリティがあったように感じました。
学生の内に秘めたドリームプランと、実状や条件の中で考える提案は、一見、相反する様に感じますが、そのせめぎあいから絞り出されるアイデアにこそ、可能性があるのかもしれません。
この先、数年後の社会を予測することも彼らには必要とされていますが、目の前の壁を感じつつもぶち破って行く、思い切ったアイデアと根性に、これからも期待したいと思いました。
今回は、前期にお世話になった琵琶湖環境科学センターの研究員の先生、地域実践領域に関わる教員全員、そして1年生にも、来年の自分をイメージする上で最終合評に参加してもらいました。
芸術大学で地域に関わり、実践して行く授業はまだまだこれからですが、地域や社会の課題を敏感に感じ取り、面白いアイデアを投げ続けることができればと、思っております。
レポート:石川亮(地域実践領域 准教授)