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歴史・民俗学担当 加藤賢治先生の地域をめぐる話

歴史・民俗学担当 加藤賢治先生の地域をめぐる話

地域の祭礼や伝説に注目!
地域に伝わる祭礼から、つながりの新しい価値観を掘り起こす。

滋賀県は多くの祭礼や伝説が残る地域として、他府県の研究者から注目を集めています。私は、受け継がれて今に残る滋賀県の祭礼や伝説などを調査することで、伝承される意味や役割について幾つかの答えを提示し、現代社会に投げかけていきたいと考えています。
例えば、滋賀県の今堅田1丁目に残る『今堅田地蔵巡り』という祭礼は、毎年8月24日に代々受け継がれているお地蔵さんをお堂や家の中に祀り、120軒の集落に住む家族全員がお参りに出歩く風習があります。年に一度必ず集落の人と顔を合わせる地蔵巡りは、地域でのコミュニケーションを豊かにし、一人ひとりの個性が認識される場になっています。
地域の人のいろんな目があるなかで成長することは、時に窮屈な場面もあるかもしれませんが、今堅田では現代社会で取り上げられる孤立という問題が起こることはありません。例え何か問題が起きても、サポートしあえるつながりがあるのです。
隣に住む人が何をしていてどんな家族構成かも知らない時代。少子高齢化で人口がどんどん減少していくなか、人と人のつながりの大切さが改めて問われています。地域独自の風習は地元の人にとって当たり前のことでも、第三者にとっては掘り起こすべき価値がある。それをみんなに分かりやすく言語化して伝えていくことで、現代社会の諸問題を解決する糸口が見えてくるかもしれません。

今堅田1丁目は4つの地域に分かれており、それぞれの地域で管理するお地蔵さんと、家々で管理するお地蔵さんがあります。祭礼の日は約40ヶ所のお参りできる場所が出現。地元の人はお供え物をしながら全ての場所を巡っていきます。写真は個人所有の地蔵尊。広い玄関いっぱいに飾り付けがされます。

加藤 賢治 准教授 Kenji Kato
宗教民俗研究者。滋賀県をフィールドとして、宗教民俗を研究。現代に受け継がれてきた地域の伝承や祭礼の意義を検証し、地域社会のあり方を考える。現在、成安造形大学准教授、同大学附属近江学研究所副所長。主な論文に『宮座の祭礼』~今堅田に伝わる祭礼「野神祭り」に見られる現状~(2012年成安造形大学附属近江学研究所紀要1号)、『寄人衆の役割に見る五箇祭』~多様なコミュニティが結び、支える祭礼の一事例~(2017年成安造形大学附属近江学研究所紀要6号)他多数。

《学位》
立命館大学産業社会学部卒業(社会学士)
佛教大学大学院文学研究科仏教文化専攻修了(文学修士)
滋賀県立大学大学院人間文化学研究科地域文化学専攻博士後期課程単位取得満期退学

http://www.seian.ac.jp/dept/teacher/29029

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